Twelve Y.O. (講談社文庫)
作者 福井 晴敏
価格 680 円
出版社名 講談社
出版年月 2001/06
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    第44回 江戸川乱歩賞   受賞
人生の意義を見失い、日々をただ過ごしていただけの自衛官募集員・平貫太郎は、かつての命の恩人・東馬修一に偶然出会ったことから、想像もつかない日本の地下組織の闇に呑み込まれてゆく。最強のコンピュータ・ウィルス「アポトーシスII」と謎の兵器「ウルマ」を使って、米国防総省を相手にたった1人で脅迫劇を仕掛け続ける電子テロリスト・トゥエルブとは何者か。彼の最終的な目的は何なのか?絶望感と閉塞感が渦巻く現代を吹き抜ける一大スペクタクル・サスペンス!

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■読者の評価     おすすめ度平均

何コレ?       おすすめ度
軍事スリラーかと思って買うと裏切られます。

途中の展開が間延びして最後のオチもいまひとつ。動機も説得力に欠けるし、作者はドンデン返しのつもりかもしれないが、最後の場面でも小説の面白さは感じなかった。
セリフも臭いし、久しぶりにハズレを引いた感が否めません。


人形の涙       おすすめ度
文庫版の解説で大沢在昌が書いているように、正直言って、前作「川の深さは」の方が感情移入できたし、泣けた。設定もあまりに話が大きすぎて、あまり現実感はなく、どうしても「作り話」という意識から抜け出ることが出来なかった。個人的には、「川の深さは」と「6ステイン」こそが福井晴敏の真骨頂だと思っているので、ややこの作品は誇張が行き過ぎて失敗したのでは・・という気もする。

ただ、この作品が江戸川乱歩賞を受賞した経緯については、大沢の解説を読んで納得できた。大沢の気持ちは一読者としても共通の思いだからだ。

唯一、この作品を救っているのは護とウルマという「戦闘のために作られた人形」たちが、心を持ち、涙を流す場面だろう。それぞれの父親や母親に見立てた人達への思いは熱く胸を打つものがあった。

いずれにしても、「川の深さは」とこの作品が、「亡国のイージス」という大作に繋がるのだから、読んで損は絶対にない。


ファンの方、ゴメンナサイ!       おすすめ度
福井節!炸裂!です。

お馴染みの人物設定。お馴染みの展開。お馴染みのテーマ…。
少々、強引な話運びには、付いて行けませんでした…。
ファンの方、ゴメンナサイ!


未完時代の福井作品       おすすめ度
「亡国のイージス」を先に読み、その後に乱歩賞受賞作の本書、あるいは「川の深さは」を読んだ。デビューから生粋の福井ファン、と言うのを除いて、多くの人が辿ったであろう順番である。

防衛庁の秘密機関・ダイスの内部抗争を舞台とし、アポクリファ、辺野古デストラクション、グソーが出てくるなど、「川の深さ」はから始まり、「亡国のイージス」へと繋がる仕掛けが面白い。結果的にダイス3部作と言われるが、作者はこれを書いた時点で「亡国のイージス」を構想していたのだろうか?

辺野古基地への攻撃など、「軍事アクションもの」としても素晴らしい。
底辺を流れる親子のストーリーも良い味付けとなっている。

「亡国のイージス」、「終戦のローレライ」と比べると完成度は低いが、パワーに溢れ、一気に読ませる。福井作品を読む上で欠かせない作品。


期待外れだった。       おすすめ度
少し前に話題になった「亡国のイージス」の作者、福井晴敏のデビュー作。
個人的には「亡国のイージス」の作者だからという事より、江戸川乱歩賞の受賞作というところからこの小説に対する期待を抱いていた。
今まで読んできた江戸川乱歩賞受賞作はどれも秀作ばかりだったので。

読破してからの感想は、「些か期待外れ」だった。
途中で読むのをやめさせるような退屈さは無く、一応最後まで読ませはするのだが、「面白かった」、「感動した」等の読後感を得られない。
何とも中途半端な小説である。

その第一の要因は「作者の政治的主張が前面に出過ぎている」という所にあるのではないだろうか。
作者が自分の小説に何らかの主張を込めることは良くあることであり別にそこがマイナス評価にすぐ繋がる訳ではない。
しかし、その主張はあくまで「小説という形」をとる以上「小説の中で表現されるストーリーの中」で自然に、さりげなく語られなければならない(と、自分は思っている)。
だが、この小説はあまりにも作者の主張が前面に出すぎている為、作中の登場人物はただ「作者の主張のままに動いている」という印象を受け、全く登場人物が「生きていない」。
登場人物が生き生きしていないというのは作者の人物描写の下手さ(特にヒロインのウルマの魅力が上手く書けていないのが痛い)から来ているところもあるのだが。

なかなか上手く書けているアクションや軍事関連の描写にも上記の欠点を補うほどの魅力は無い。