果つる底なき (講談社文庫)
作者 池井戸 潤
価格 680 円
出版社名 講談社
出版年月 2001/06
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    第44回 江戸川乱歩賞   受賞
「これは貸しだからな。」謎の言葉を残して、債権回収担当の銀行員・坂本が死んだ。死因はアレルギー性ショック。彼の妻・曜子は、かつて伊木の恋人だった……。坂本のため、曜子のため、そして何かを失いかけている自分のため、伊木はただ1人、銀行の暗闇に立ち向かう!

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■読者の評価     おすすめ度平均

新人離れしたミステリー       おすすめ度
 先ず驚くのは、新人離れした手慣れた筆致と構成力。冒頭の親友であり、同僚が残した謎の一言。ここから事件はどんどん展開し、読者は惹きつけられる。元銀行員の著者ならではの金融の内幕、緊迫感。次から次へと訪れる謎、謎、……。
 読み始めたら止まらない勢いのあるストーリーテーリング。乱歩賞受賞作の中でもレベルの高い仕上がり。惜しむらくは、最後の結末の構成がドタバタした感じで落ち着かないこと。それで大分損をしている。細かい点を挙げれば、若い女性が好きな男の部屋で一人だけペペロンチーニを食べるかなぁとか、殺人の実行犯の手口が段々荒っぽくなるとか切がない。その辺りがマイナス材料で星4つ。池井戸潤ファンは読むべし。


経済ミステリー       おすすめ度
銀行の内幕がよく書けてると思ったら、著者は三菱銀行の行員さん。
乱歩賞って感じはしなかったけど、まあ面白かった。


銀行以外の部分の魅力に乏しい       おすすめ度
銀行の内部情報や資金の流れ、組織の中での
人間関係や苦悩は判りやすく丁寧に書いている。
でも、それ以外の部分は凡庸。
主人公にも魅力があるとは言えない。
読んでてワクワクする感じも無し。


金融ハードボイルド(?)       おすすめ度
作品の形としては、ハードボイルドになるのかな。謎の言葉を残して死んだ友人・坂本の調べていたものは何か、主人公・伊木は調査に乗り出す。
「銀行の暗部」「金融」なんてテーマが出てしまうと、なんとなく取っ付きにくい印象があるものの、いかにも説明説明した感じではなくそれなとなく折り込まれており、しかも、調査過程なども自然な流れなので凄く読みやすい。江戸川乱歩賞作品ではよく見られるような尻切れトンボという部分が無いのも好印象。
ま、坂本の妻・曜子が伊木の元恋人という設定に殆ど意味を見出せなかったり、など、ほじくれば少しは不満は出るが、完成度も高い作品だと思う。


殺人が多すぎ?       おすすめ度
事件の真相を突き詰めていく仮定は、リアリティがあり、テンポも良いのでぐいぐい引き込まれていきます。最後まで一気に読めてしまえます。主人公の伊木も格好良いですが、個人的には坂本が好きです。
気になるのは、人が死にすぎるという事でしょうか。ネタバレになるので詳しくはかけませんが、殺人まで犯すかなぁという事で星3つです。