八月のマルクス (講談社文庫)
作者 新野 剛志
価格 680 円
出版社名 講談社
出版年月 2002/06
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    第45回 江戸川乱歩賞   受賞
レイプ・スキャンダルで引退したお笑い芸人・笠原雄二。今は孤独に生きる彼を、元相方の立川誠が5年ぶりに訪ねてくる。だが直後、立川は失踪、かつてスキャンダルを書き立てた記者が殺された。いわれなき殺人容疑を晴らすため、笠原は自分の過去に立ち向かう。

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■読者の評価     おすすめ度平均

駄作・・・と言いけれない何かがある。・・・ような       おすすめ度
ミステリーとしてのできはお粗末だと思う。
重要な小道具であるヴィデオにたどり着くきっかけは、安直すぎて不自然だし、犯行の動機もあまりにゆるくて説得力がない。謎解きも延々と続く説明文会話で処理されてるだけ。首輪のエピソードもひどいと思う。駄作と言っても過言じゃない。

なのに、なんか心に残ると言うか、つい読み返してしまうのはなぜ!!!

エピソードがいいから?登場人物たちが魅力的だから?文章が冴えてるから?テーマに共感できるから?・・・いや、どれもちがうんだけどな・・・。
しいて言えば、さめた主人公のキャラと語り口は好き。190ページの3行目はすごくリアルだと思う。変な比喩も好き。シュールなお笑いのネタも悪くない。

折り返しにある、著者略歴がすごく興味深い。もしかしたら、「彼が作品を執筆してた時の暮らし、その時の想い」を主人公の向こうに想像しながら読んだから、おもしろく読めたのかもしれない。


驚愕       おすすめ度
これ程、ひどい小説は初めてだ。読了後、ふつふつと怒りが…。設定通りなら、それぞれ魅力的であるべきはずの登場人物達が、まるでロボットのように冷たく、能面のように感じられ、故に喜怒哀楽のすべてがヴァーチャルで空々しいのだ。流れるようなストーリー展開は、なんだか、焦って先へ先へと急いで描こうとしているようにも受け取れるし、それが結実したスピード感の正体は、あらゆる場面での”説明不足”が原因だ。犯行動機はあまりにも希薄だし、読者に説明する必要がないと開き直っているのか、ほんとに都合のいい展開ばかりだし。読者の想像力は穴埋めに使うためにあるんじゃない。この小説は、読者に向かって開かれてないよ。閉じられた物語だ。


体温の低そうな作品       おすすめ度
読みにくい文章だと感じた。
会話も、誰が言ってるのか判りづらい部分がある。
プロットについても、良く練られているとは思うが、
やはり判りづらい。
主人公はプロットを淡々とトレースしているだけ。
読み終わった後の感動もなし。


タイトルがいい       おすすめ度
八月 マルクスと来れば
なんとなく違う方向を想像してしまうのだけれど
いい意味で裏切られた。

良質のハードボイルド。

メディアのいやらしさを扱ったミステリイには
同じ乱歩賞受賞作の名作
『破線のマリス』があるけれど
あちらが報道なら
こちらはバラエティ

こちらもまた
メディアのいやなところを
巧みに描いてくれている。

ハードボイルドの

ダメな男に降ってかかる災難
当に忘れていた情や義理のために
やむなく動き出し
一度動くとそれは見事な仕事をし
信じていた友人が実は…

などのお約束も
これまた見事にそして結末を想像できないように
果たされていて。

なんと言っても評価したいのが
ほんとにささいな感情が
これほどに多くの悲劇を生み
人生を動かすという
ドラマのようで実際にもよくある話

読後感も悪くないし
読んで損はしないと思う


追記
文庫版表紙の挿絵
なぜかプロ野球の新庄選手に似ているような
偶然だが
作者名も
新野剛志
あはは。


薄いが時間が電車ではいい       おすすめ度
著者の本はおもしろいときいて読んでみました。
この作品は第45回江戸川乱歩賞受賞作で、
ある元お笑い芸人の中心に動いていくミステリー作品です。
受賞作品にしてはストーリーの流れが薄い作品ではあるが、
おもしろいとは思います。
結構酷評が多いようですが、
逆に登場人物が少なく、芸能界の話ということもあり読むのは楽で想像もしやすいのではないでしょうか?
ただやはりあとなにかが足りない気がします。
たとえば主人公の母親の死を振り返る場面ではもっと葛藤を描き、
主人公の奥底の内面も読者に想像させてほしかったですし、
追っかけの女性達の特異な内面も描いて欲しかった。
小説、とくにミステリーは筆者の取材や勉強不足が露呈しやすく、
そのあたりが気になりました