水の時計
作者 初野 晴
価格 1,575 円
出版社名 角川書店
出版年月 2002/05
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    第22回 横溝正史賞   受賞
医学的には脳死と診断されながら、月明かりの夜に限り、言葉を話すことのできる少女、葉月。生きることも死ぬこともできない彼女が望んだのは、自らの臓器を移植を必要としている人々に分け与えることだった――。

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■読者の評価     おすすめ度平均

こんな夫婦になれたらいいな       おすすめ度
臓器や角膜など提供を望む患者とそれを与えたい人間、決して相容れない関係に対して踏み込んだ作品。人の命の尊さに感動した。特に感動したのが、心臓疾患の夫に黙って家を出た余命3ヶ月の妻の話。余生を海外で過ごそうとずっと話していたにも関わらず、何も言わず離婚届けに印鑑を押して出て行ったのは、その告知を聞いた夫が平常心でいられず心臓発作を起こしてしまうと心配してのことだった。それに気付いた夫は、なんとか妻の最後を看取ることができたが、そんな妻と一緒に感動したり夢を見たこの心臓を取り替えたくないという夫の言葉にも感動した。こんな夫婦になれたらいいなと思う。


設定は好きですが。       おすすめ度
童話「幸福の王子」をモチーフにした小説です。
6つの小節に分かれているのですが、
そのタイトルが素敵だと思いました。

モチーフが最初からわかっているだけに、内容は容易に理解できたのですが、
どうも何かひとつ足りない。
代表的なところではラストシーンですが、話しが飛んでいるというか、読者に想像を強要しているというか。
多分作者は余韻を残したつもりで話しを終えているのでしょうが、
どうもこちらにはそれがうまく伝わってこない。
全体的に、字足らず・言葉足らずと言う印象です。
分類としてはミステリーなのでしょうが、ファンタジー要素もあり、
やや中途半端な感じが否めませんでした。


切ない物語       おすすめ度
最初、ちょっと自分には向かない本かなぁと思ってたんですが、読み進めていくうちに、すっごいハマっていきました。

すでに脳死と診断されているはずの女の子が、不良とフダ付きの主人公へ自分の臓器を必要としている患者へ届けて欲しいと頼む……。
普通では考えられないようなストーリーですが、それが結局すべて繋がっていることに気付いたときのクライマックスは、もう一気に読みたくて仕方がありませんでした。

これがデビュー作になるなんて信じられない。
そのくらい、私は面白くあり、そして切なかったです。

読後はふーっと深く深呼吸したくなりました。


人間の脆さを表している気がする。       おすすめ度
題名である『水の時計』を最後に強調したせいか、最後のまとまりが少しおかしくなったと感じた。
この作品について、他の人たちは現代版『幸福の王子』言っているいて、私はそれを見るまで、そうとは思わなかった。
この作品は、個人というか、人間の脆さと、儚さ、そして悲しみなど、人間の負の部分を表した作品だと思った。
私はこの作品を読んで、『何か』に惹かれた。
それが何かはわからないが、私はこの作品は色んな意味で良い作品だと評価します。


「いのち」       おすすめ度
現代版「幸福の王子」。ただし、分け与えるのは宝石ではなく、自分の臓器という今までにない発想の作品。脳死と判定されても、本当に当人が意識不明なのかは、判断できないという。全ての状況を理解することが出来るのに、自分の意思を伝える手段がまったくない状態で横たわっているのかもしれないとさえ言う人がいる。葉月はまさにそんな少女だ。自分の命が少しずつ切り取られていくとき、少女は何を考え、どんな思いでいたのだろう。「いのち」、この言葉の重さが、ずしりと心にのしかかる。