父の晩年
作者 山口 瞳
価格 2,100 円
出版社名 河出書房新社
出版年月 2007/01
Amazonの詳細ページへ

  この著者の他の作品を検索する

著者名をクリックすると、この著者の他の作品を検索することが出来ます。

書名か表紙写真をクリックすると、 Amazon.co.jp の詳細ページに移動できます。

商品を購入する際は、移動先の Amazon.co.jp の購入ページにて、商品価格・在庫の有無や納期をよくご確認のうえ、お手続き下さい。



■読者の評価     おすすめ度平均

勝負に理屈はいらない。‥が、それを言い合うのは、けっこう楽しい。       おすすめ度
 さてさて、山口瞳という人は不思議な人だ、と思う。
 肉親や家族に対する温かい目と冷徹な目が同居し、しかして作品に描く時は辛らつだ。
 この本に収載された新旧12編の短編はおよそ20年に亘って描かれたものだが、文体の違いはあっても
描く姿勢において左程年代的ズレを感じないのは、贔屓目か。
 若い頃は麻雀で負け知らずであっても、著者は後年、麻雀より競馬を愛した。
 阿佐田哲也だったと思うが、「麻雀のように、負けを計算できないのが、本来の博打‥」であって、
「賭けた分しか損をしないのは博打とは言えない。」らしい。
 その伝で言えば、その転換点以後、山口瞳は博打うちから転向したことになる。
 しかし、この人の博打に関しての姿勢が恐らくこの人の本性であり、もっとも自分が自分らしく
いられる状態なのだろう。
 人をしっかりと見つめ、何を考えているかを見通す観察眼がなければ、麻雀には勝てないし、
作家になって、その観察眼は、さらに研ぎ澄まされたことだろう。
 見る目の厳しさの対極にある、性格の優しさやユルさが却って際立ち、読者を獲得したのかも‥。

 ところで、競馬で勝つことの厳しさは、浅田次郎の「勝負の極意」にも同様の記述がある。
 競馬がお好きな方にはオススメの一冊。


哀しさとやさしさと       おすすめ度
今年十三回忌を迎える故人の未収録短篇集が、著者の「作家以前」に係った出版社の新社から刊行される。神保町の古書店主が以前、こんなことを話してくれた。「古書価でも、山口さんの本は下がらないどころか年々上昇しています。と同時に、今日の出版界でこれだけ息の長い刊行が続く作家というのは稀ですよ」私も同感である。
山口瞳氏は市井の人々、町の人々を題材に描くことに実に長けている。まなざしのやさしさはもちろんだが、それだけに、人には、或いは家族にも決してみせなかった「影」の存在も見逃すことはできない。感心し、思わず本を閉じハンカチを探したりもした一冊である。