心臓と左手  座間味くんの推理 (カッパ・ノベルス)
作者 石持 浅海
価格 880 円
出版社名 光文社
出版年月 2007/09/21
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■読者の評価     おすすめ度平均

“ザマミロ”と静かに嗤うサラリーマン       おすすめ度
テロ対策を任務とする大迫警視と探偵役・座間味くんの
会話だけで話が進む〈安楽椅子探偵もの〉の連作短編集。


◆「貧者の軍隊」

 一般人には決して危害を加えない正義の素人テロ集団「貧者の軍隊」。
 彼らのアジトにおいて、一人のメンバーが密室のなかで死んでいた―。


 密室の形成過程がいまいちイメージできなかったです。
 ホワイダニットの皮肉っぷりこそ、著者の持ち味。



◆「心臓と左手」

 新興宗教の教祖が死んだ。

 彼は幹部に対し、自分の心臓を食べた者を
 後継者にするとの遺言をのこしていた。

 しかし、幹部の一人は、その権利を放棄し、
 なぜか教祖の左手を所望して―。


 伏線の妙。

 逆説による着想と常人では見過ごしてしまう「不自然」を
 抜け目なく掬い取る手つきは亜愛一郎を彷彿させます。



◆「罠の名前」

 人質を殺すために仕掛けられた罠の意図とは?


 伏線が不十分なので、やや強引か。
 そのため、最後の警察に対する皮肉も、
 あまり説得力がありません。



◆「水際で防ぐ」

 外来種排斥運動本部で起きた殺人事件。


 「外来種」から発想を飛躍させていくところがいいです。



◆「地下のビール工場」

 何事も慣例に囚われ、柔軟性のない警察の
 あり方に、痛烈な皮肉がなされます。

 まあ、さすがに今回のビール工場のようなケースは、
 入念に「検査」されると思うのですが…。



◆「沖縄心中」

 反基地運動をしている人を、ささいな
 諍いがもとで殺してしまった米兵。

 責任を感じた彼は、日本人の恋人と
 心中することで贖罪したというのだが…。


 基地問題が孕む矛盾により生じた悲劇―という「美談」。

 終盤、その構図が裏返され、シニカルな真相が示されます。



◆「再会」

 『月の扉』の後日談。


 最後ということで感動的な展開になっているのがちょっと…。

 座間味くんと再会した「ある人物」の間に
 絆が芽生えるというのも少しクサいですね。

 でも、この違和感も著者の計算のうち!?
 

 


 


座間味くんに再会       おすすめ度
あの‘座間味くん’が探偵に?
『月の扉』で‘座間味くん’っていいなと思っていたので、期待しながら読み始めたのですが…。
私があまり好きではない『安楽椅子探偵もの』で、がっかり。
刑事と待ち合わせて、食事をしながら‘座間味くん’の推理。7編中6話がこのパターン。さすがに読んでいて飽きてくる。
推理自体は悪くないが、やはりちょっと推理に無理がないか?と疑問に思うことがある。
最後に入っている『再会』がよかったので、☆3つ。


十周年は去年だったからね。       おすすめ度
 事件について警官が話、民間人が聞き役で事件の真相を言い当てる。
 安楽椅子探偵の典型の短編小説です。

「月の扉」に登場した二人の人物
「ハイジャック事件で探偵役を割り振られてしまった青年」

「出向中にハイジャック事件にかかわった大迫警視」
によってお話が展開します。
 前作を読んでいない人にも、楽しめる独立した短編集になっています。
 
 一つ一つの推理に無理がなくて、「なるほど」と思わせてくれるのでとても面白かったです。
 とくに、「罠の名前」
人物の性格から推し量った「本当の標的」にはうならされました。


座間味くん再登場       おすすめ度
作者は作品ごとに探偵役を変えているというか、同一人物が探偵とならないので、
「月の扉」の探偵こと座間味くんが再登場と言うことで、続編かと思って楽しみに
していたら、7編の短編集だった。
表題作の「心臓と左手」がちょっと猟奇的だったけれどもね。
でも、最終話の「再会」が続編だね。
シチェーションとして沖縄の事件の時の刑事と酒を飲みながら、
刑事が話す事件の解析を行っているので、読んでいて酒のさかなが美味しそうで
仕方がなかった。