臨場
作者 横山 秀夫
価格 1,785 円
出版社名 光文社
出版年月 2004/04/14
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‘終身検視官’、死者の人生を救えるか−−。 辛辣な物言いで一匹狼を貫く組織の異物、倉石義男。 その死体に食らいつくような貪欲かつ鋭利な「検視眼」ゆえに、 彼には‘終身検視官’なる異名が与えられていた。 誰か一人が特別な発見を連発することなどありえない事件現場で、 倉石の異質な「眼」が見抜くものとは……。 組織と個人、職務と情。警察小説の圧倒的世界!

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■読者の評価     おすすめ度平均

カリスマ鑑識調査官・倉石義男の事件簿       おすすめ度
◆「赤い名刺」

  検視官である一ノ瀬は、かつて自分と不倫関係だった
  女性の変死体の検視を担当することになる。

  女は一ノ瀬の名刺を持っており、それが発見されれば、
  容疑者扱いされなかったとしても、組織内での信用は失ってしまう。

  一ノ瀬は、誰よりも早く、現場で名刺を回収しようとするのだが……。


  秘密が発覚することへの脅えと女への想いの間で揺れ動く一ノ瀬の内面の葛藤が、
  事件の謎解きと並行して語られていくことで、終始サスペンスが途切れません。



◆「眼前の密室」

  張り込みをしていた新聞記者がポケベルで
  急に呼び出され、現場から離れることに。

  その際、玄関のドアノブの上に石粒を置いておくことで、
  人の出入りの有無を後で確認できるようにしておいた。

  17分後、現場に戻って確認すると、
  石粒は変わらずドアノブの上に。

  しかし、のちに家の中で死体が発見されて……。


  密室の形成方法もユニークで興味深かったのですが、
  社会派らしい犯行動機には、身につまされます。



◆「鉢植えの女」

  ジキタリスとサルビアの鉢植えにまつわる二つの事件。


  ジキタリスの事件は《ダイイングメッセージ》もの、
  そして、サルビアの事件はホワイダニットです。

  結末での一ノ瀬とカリスマ検視官・倉石の
  師弟愛が、じつに男臭く、いい感じです。


横山秀夫恐るべし       おすすめ度
 警察組織に詳しい(?)私も「検視官」知りませんでした。
 確か昨年の秋に読んだので、忘れてしまったところもあるのですが、「時来たり」の話は圧巻でした。
 また、「老人臭がなかった」や「孝行息子を持った母は自殺しない」などの(まだまだありましたが)セリフも泣かされました。
 また、私も多少報道関係者と関わったことがあるので、地元新聞社の記者の「大新聞の記者は一発特ダネを当てて、本社に帰ればいいが、俺たちはずっとのつきあい」というところは、上毛新聞の記者だった作者ならではの文章ですね。(正確な文章は忘れているので多少の違いは大目にみてください。)


物語の裏に潜んだ本当の物語!?       おすすめ度
現場検視官。事件現場に赴き、状況から事件性の有無などを判断する。

本作の主人公は終身検視官と渾名を受け、第一線で活躍をする現場人である。現場の数は元よりも、現場の状況から全てを把握して裏に潜んだ本当の物語といった全てを見透かしてしまう力量を持ってもいる。

捜査官とはちょっと一味違う。座ったままの探偵物語とも違う。不思議な位置にある物語。


面白かった       おすすめ度
うっかりすると見逃してしまいそうな些細なことの中に、大きな真実が隠されていることがある。倉石の鋭い観察力は絶対にそれを見逃さない。人の心の奥底に潜むものさえも、時には見抜いてしまう。事件や事故を機械的に処理するのではない。そこには温かな心遣いが感じられる。そこが倉石の魅力となっている。倉石はこれから先もずっと検視官を続けていけるのだろうか?ラストの描写が気にかかる。


なぜこんなに面白いの       おすすめ度
 以前、著者の短編集「看守眼」を読んで、その面白さを嫌と言うほど味わいましたが、本作でも存分に短編の面白さを味わうことができました。
 検視官を主人公にした連作ですが、本当に面白い。
 短編の中に起こる起承転結は日本刀の切れ味さながらで、すごみさえおぼえます。
 私は、本作にハマッテしまいマイカー通勤の最中、信号待ちの度に読み進めていきました。
 本当にお勧めです。