狼花  新宿鮫IX (新宿鮫 (9))
作者 大沢 在昌
価格 1,680 円
出版社名 光文社
出版年月 2006/09/21
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「理想を頭にもたない警察官など、ただの権力者だ。俺たちが何のためにこれだけの権限を与えられているか、一日も忘れてはいけないんだ」理想と現実のはざまで、なお、求めつづける「正義」とは何か? 男の信念と絶望、女の愛と靭さ、国境を越えた個人と国家権力……さまざまな角度から日本を、現代社会を、「われわれ」を、深く鮮烈に描き出す渾身の傑作長編。

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■読者の評価     おすすめ度平均

ヒロイン明蘭の生々しい存在感が光る傑作       おすすめ度
著者の作品はハードボイルド路線ゆえかこれまでのシリーズでは、あまり実生活で女性に縁のない男が好みそうな類型的なヒロインが登場することが多かったのですが今回は違います。きちんと「我」をもったある種生々しいヒロインが魅力的です。男にとって「ちゃんと不快な部分」があるのが素晴らしいポイントです。ヒロインに感情移入できないというレビュアーはおそらく上記に挙げたような類型的な「妄想ヒロイン」しか受け入れられないタイプの人たちなのでしょう。ヒロインに関しては氷舞などと違い、凝った設定で誤魔化したりしていないところも今回の作品は好感が持てました


明蘭に難クセつけてるのは底の浅いレビュアー       おすすめ度
なんといっても歴代最高のヒロインの明蘭に尽きる作品。彼女の女として人間として他者に認められたいという生々しい願望がよく描き出されていて人間臭く好感が持てた。彼女に感情移入できないと評しているレビュアはこれまでのシリーズに登場したような類型的なヒロインに傾倒してるような人生経験の浅い童貞臭い者たちなのだろう。


流石のレベルですが、ちょっと勿体無い&物足りない       おすすめ度
待ちに待った「新宿鮫」!とても文庫化は待てずに購入致しました。読了した感想としては・・・グイグイ引っ張る展開と濃厚な人間ドラマはこれぞ「新宿鮫」!一気に読み終えました。ただし、ここまで鮫島との因縁を引っ張ってきた「香田」と「仙田」をこの作品で一気に失うのはちょっと勿体無い気が・・・。「仙田」のクールさが消えて一気に人間臭いキャラになったのも少し性急かなーと思いました。そして香田には最終作まで鮫島と絡んで欲しかった・・・。
更に、晶の出番がほとんど無い(涙)。
次回作は言ってみれば「新章」とも言えるものになりそうですが、「香田」「仙田」を超えるニューキャラクターの登場と晶の出番が増えることを期待します!


もっとタイトに出来たかも       おすすめ度
今回も鮫島の行動は大胆で、読んでいて思わず応援したくなるくらい、魅力的。
相変わらず一気に読める位スピード感のある展開だが、もっと簡略に描写しても
いいかも、と思う部分もあった。そうすれば、もっとタイトでスリルな作品に
なったと感じた。


テーマと人物描写       おすすめ度
今回は、テーマが大きくて、その分人物描写が薄くなった感がある。とりわけ、仙田と香田については、シリーズを通じて重要な人物であっただけに残念だ。
また、女性について。明蘭の倫理観の欠如は、中国人その他の外国人が、日本で必ずしも正当とはいえない扱いを受けていることの反面なのかもしれない。が、いかんせん魅力がない。何よりも、仙田がなんで明蘭にあそこまでこだわったか、理解しがたい。晶については、従来からのファンは以前から不満を抱いている。今回に限っては、思い切って一切登場させないという手もあったのではないか。この辺はシリーズものの難しさかもしれない。
一方、大きなテーマについては、共感できるところが多かった。物の流れは人の流れを作る。外国のモノが増えれば外国人が増えるのもまた必然だ。それに伴い犯罪形態が従来と大きく異なってくることは、以前のこのシリーズでも取り上げられている。この点を「都市」というキーワードで説明しているが、ごく普通の読者には、ややくどいかもしれない。
最先端のテーマを取り上げて、物語の重要な要素に仕立てあげ、さらに、中野学校という警察の歴史の暗部に踏み込んで、「都市」に絡ませる。おそらく今回はこちらのほうに比重が置かれたのだろう。
ただ、大沢独特の、登場人物による会話の妙は健在で、私としては、これが楽しめただけでも、十分読む価値はあった。