吉原手引草
作者 松井 今朝子
価格 1,680 円
出版社名 幻冬舎
出版年月 2007/03
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    第137回 直木賞   受賞
なぜ、吉原一を誇った花魁葛城は、忽然と姿を消したのか?遣手、幇間、楼主、女衒、お大尽―吉原に生きる魑魅魍魎の口から語られる、廓の表と裏。やがて隠されていた真実が、葛城の決意と悲しみが、徐々に明らかになっていく…。誰の言葉が真実なのか。失踪事件の謎を追いながら、嘘と真が渦巻く吉原を見事に紡ぎあげた、次代を担う俊英の傑作。

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■読者の評価     おすすめ度平均

さすが、直木賞受賞作       おすすめ度
はじめて、松井 今朝子さんの作品を読みました。

最初の感想は、「ああ、じょずだなぁ」って。

さほど、盛り上がりがあるわけではないのですよ。

謎の男が、花魁葛城について、吉原のいろいろな人たちから話を聞きだして歩くのです。

で、花魁葛城が、少しずつ明確になっていくのですが、

いくほどに返ってわからなくなってくる。

さいごはなかなかのどんでん返し。

さすが、直木賞受賞作(笑

定価で買っても、損したとは思わない本と思います。

装丁も綺麗だしね。



本読みにオススメ!       おすすめ度
私自身は、何気なく手に取り「わたしが大好きな某作家先生とは、江戸言葉が若干違うみたいだ」と読み始めたのですが…面白かったですよお〜!語り手の口調が同じだから退屈、とかコメントにありましたが、わたしにはいろいろ違いが感じられて、あっという間に読了しました。
葛城のキャラがわからないかんじもいいですね。
いろいろ勉強になりましたし、松井先生の他の本も読んでみたいです。
読後は、女と生まれたならば胆を据えて男をたらしこんでやりたい、と妙な気合いが入る爽やかさがありましたよ。


嘘とお金で作り上げられた世界への川柳的な物語       おすすめ度
吉原のことを全く知らない私にもわかるようになっていて面白かった。
吉原というものを客観的にしらない人間のほうが、素直に吉原の滑稽さを楽しめる物語だと思う(それも作者の意図?)。

その昔にお国から許可された商売として、その世界独特の色恋稼業が(お金を通して)ここまで綿密に確立されていたのかと思うと驚くのと同時に、(日本の)男というのはどこまでも想像力豊かで傲慢(?)な生き物だなぁと、ある意味感心してしまった。
だからこそ、この物語はその滑稽さをうまく表現していて面白かった。
お金で強引に作った夢の世界だけあって、すべてお金と嘘で固められている様をうまく描いてるなぁ、と。

それぞれの語り手の語り口が同調で読みにくい部分を含めてみても、それぞれの嘘をからめた言い分が可笑しく、お金で動く世界だけあって最後までそれぞれの語り手が本当のことを言っているのかどうかがも私は疑問を感じた(吉原に働く人間が葛城をどう思っていたのか?等の本心)。きっとそこは読み手の想像にお任せします、ってことなのでしょうか。
(それとも私が疑い深いだけ?)


最高傑作ではないけれど       おすすめ度
 松井今朝子の最高傑作というわけではありませんが(少なくとも『家、家にあらず』の方が出来が良い)、そう悪い小説とも思えないんですけどね。

 辛い評価がなされているのは、やはり直木賞受賞作だという先入観を持って読むせいでしょうか。

 帯や解説を先に見ると、ついミステリ的な興味で読むようにミスリードされてしまうからでもあるのかもしれません。ミステリとしてみたら、良い出来ではありませんから。この答えでミステリの謎解きですと出したら、ミステリマニアは怒るでしょう。

 序盤のすべりだしがぎこちなく、遊女の話としては新味がないというのも減点の原因になっているのかもしれませんね。
 しかし、中盤をすぎたあたりから、ヒロインが急にいきいきとしてきます。作品も俄然独自性をもってきて、ぐいぐい引きつけられる内容に。

 あるいは、現代的な価値観だと納得のいかない結末だから?
 結局このお話は歌舞伎なんです。登場人物の現代語口調にだまされてはいけません。ヒロインの行動原理は江戸歌舞伎。
 歌舞伎の嘘が許せる人なら、この不自然な解法も、劇的効果のために意図的についた大嘘だとわかるはずです。


吉原ガイドブック       おすすめ度
吉原一と謳われる花魁葛城が忽然と姿を消した。彼女がどんな女性でなぜ消えたのか。
ある人物が彼女の関係者から話を聞いて歩いていく。そしてその人物の正体は。
一人一人の語り口で真実が少しずつ明らかになっていく話です。

その時代の語り口調で描かれていることで、吉原という妖艶な世界観が強調されていて面白い。
そして吉原の特異な仕組みも読みながら自然と入ってくる。
しかし直木賞受賞と期待していた分、真相が明らかになった時の気抜け感はありました。