氷の華
作者 天野 節子
価格 1,680 円
出版社名 幻冬舎
出版年月 2007/03
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■読者の評価     おすすめ度平均

話題作!ドラマより小説!!       おすすめ度
米倉涼子、堺雅人の出演によりドラマ化ということで、本書を手に取りました。
瀬野恭子は心の豊かさというものを感じない、育ちのいいわりにはおっとりとしたところがなく、我儘で直情型である。
華やかな笑顔の裏に潜む鋭い洞察力。
丁寧な言葉遣いをしながら人を見下す高慢さ。
常に優位に立っていなければ収まらず、決して弱みを見せない痛々しいまでの強気さをもつ女・・・
「なりすましメール」って、この手の質の悪い最低最悪の女のやりそうなことです。
恭子の人物設定がはっきりしているので、言動のひとつひとつに説得力があります。
瀬野隆之にとって、恭子との結婚はさぞかし息苦しいものだったのでしょうね。
気の毒でなりません。
終盤、家政婦だった杉野妙子が登場し、恭子を動揺させるあたりは、「家政婦は見た!」を連想させます。
天野節子さんの次の作品が楽しみです。
2夜連続のドラマは、見ごたえはありましたが、やはり小説に比べるとイマイチでした。
米倉涼子は原作のイメージに合っていましたが、それ以外はちょっと違うなぁ・・・というカンジでした。
原作はオレンジジュースでドラマは牛乳・・・
何で牛乳にしたんやろか?


どの視点で読むか・・・       おすすめ度
主人公・恭子に感情移入しながら読むか、ミステリーとして読むかによって、
この作品に対する評価は分かれるような気がします。
私は恭子の立場で読み進めてしまったので、結末については『無念』と思い
ました。なので評価としては星3つです。
作品自体は、グイグイ読みすすめる事が出来る面白さがあります。


トリックは良くできています。       おすすめ度
犯人は分かっているし、その犯人も中盤で逮捕されますので、
事件自体はあまり重要ではないです。
人一倍プライドの高い主人公が、いかに完全犯罪を成し遂げるか、
そして刑事がその謎をどうやって解いて犯人を追いつめるかが、この本のポイントです。
簡潔な文章で読みやすく、厚さの割には早く読み終える感じです。
決して凡庸な作品とは思わなかったのですが、
気になる点が少し。

まず、刑事の謎解きに対しての主人公の返事に「・・・・」という部分が多すぎました。
1度や2度ではなかったので、ちょっと白けてしまいました。
テレビの脚本であれば表情で表すということが出来るかもしれませんが、
小説ですから言葉で主人公の無言を表現して欲しかったです。
あとはセレブな主人公のしゃべり方はまだ許せるとしても、
他の登場人物もみな何となく上品で、
個性が感じられませんでした。
それからラスト。
主人公の行動が予想通りで(読んだ方みなさんそうだと思います)、興ざめでした。
そしてその後の刑事の述懐は必要だったのでしょうか。

こうレビューを書いて改めてこの作品について考えると、
小説と言うよりは2時間ドラマの脚本という印象ですね。
「名物刑事○○シリーズ第○弾」みたいな。
多分作者は頭の中で考えた映像をそのまま文章にしたのではないでしょうか。
私にはそう思えて仕方なかったです。


女性版松本清張       おすすめ度
女性版松本清張と評されていましたが、まさにその通り!重厚なミステリーを堪能できました。恭子という女性を中心に事件が起きていきます。この恭子、プライドが高くて嫌な女のはずなのに嫌いになれないのは、人物に深みがある証拠だと思います。初めての作品とは思えないほど文章、展開もしっかりして次回作が楽しみです。


最後に勝つのは?       おすすめ度
この本はもともとは自費出版されていたという事に驚き、作者が還暦を
過ぎた女性でこれがデビュー作ということに更に驚かされました。
裕福なセレブマダム・恭子のもとに突然かかってきた一本の電話。夫の
愛人と名乗る女性からの屈辱的な言葉が彼女を殺人へと動かすのですが、
この恭子がただ美しいだけではなく、頭も切れて行動的な女性だという
のが本書の魅力のひとつです。恭子を陥れた人物達の思惑、職人肌の刑事
・戸田の捜査と推理も加わり、二転三転する展開から目が離せません。
最後に勝つのはいったい誰なのか。それを確かめるため一気読み必至です。