ライン   幻冬舎文庫
作者 村上 龍
価格 520 円
出版社名 幻冬舎
出版年月 2002/04
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■読者の評価     おすすめ度平均

現代社会の鏡       おすすめ度
対談集で田口ランディが絶賛していたこの『ライン』と言う作品。

一見何のつながりも無いような、壊れる寸前、と言うか、もう壊れている人たちが「ライン」によって繋がれる様子が非常に上手く描かれています。


98年の小説ですが、今読んでも充分新しい小説です。

病んで病んで病んで、もはや飽和状態になりつつある儀ぎりぎりの国日本ですが、そんなぎりぎりの国に生きる、ぎりぎりの人たちを、村上龍はこれでもかってくらい圧倒的な筆力、疾走感で描きます。

「文学は想像力を駆使し、物語の構造を借りて、彼らの言葉を翻訳する」

あとがきで本人が語っていますが、その通り村上龍は作家であると同時に、翻訳者でもあるのだ。


ラインを抜ける為に       おすすめ度
それぞれ違った人々の関連性の無い話を、一本のライン(無機質なコミュニケーション)を通して並列させたストーリー。それ故、1話毎に話が切り替わり、起承転結も無いまま、次の人物の話に切り替わる為、読む方としても少し戸惑いというものがある。文学の概念というものがあるかどうかはよく解らないが、それを取り払った現代的なポップアートのような作品にも思える。明確なストーリーの筋が無い為、面白さというものがなかなか見つかりにくいのだけれど、ただ、その圧倒的な話の展開するスピード自身が、表現として世界観の全体像を描き出し、それが、あまりにも憂鬱で寂しげな現代社会をリアルに語っているように思えた。僕はこのストーリーを読み終えた後で、そういった感覚が、じわじわと沸き立ってきて静かな興奮というものを覚えた。

ここに登場する主人公達は、皆他人同士であり、ストーリーに何の関連性も持たない。ただ、それがラインとなって繋がる事によって、自分と他人をあるものによって共有させていくのが解る。それは、現代社会に住む僕等が持つ寂しさであり、そう考えるとこれらの主人公達と、読者である僕も寂しさというもので、ラインとして繋がるように思う。ただ一人、「わたしには他人というものがいない」と語るユウコのみ、他の登場人物とのラインが断絶しているように思う。他の主人公達はスムーズかつ曖昧に主観と客観が物語の中で切り替わるのに対し、ユウコだけは、はっきりとその切り替わりが読み取る事が出来る。

他人との曖昧なコミュニケーションによって、寂しさを共有し、それが一本のラインとして永遠にループされていく。そのとても閉鎖的で平板化した、現代に存在するラインを抜けていく為にはどうしたら良いのか?それはユウコのように、ラインというものを読み取る能力を付ける事だろうと思う。勿論それは、彼女が持つ超能力的なものを持つと言う事ではなく、現代に渦巻く精神的な空洞を自分の中に情報として受け入れ、自分自身でそれを考え処理していく事なのではないだろうか?その為に、これらの主人公は物語として、読者の前に登場し、僕達にそれを情報としてそれを知らせてくれているように思うのだ。


繋がってる感が楽しめる       おすすめ度
人と人が交差する瞬間に目線が入れ替わる、映像を見ているような小説。
タイトルの「ライン」と内容がこれほどまでにピッタリとはまった小説も
なかなか無い。
賛否両論分かれる所だろうけど、村上龍の中では傑作では。
読むの疲れたけどね・・・(-_-;)


現実派は読んでも面白くない。       おすすめ度
ある仮説が成り立つモノとして、読んでもらいたいです。
「電話線を介さずして、会話を聞く事が出来る女がいたとして」です。
いちいちケチをつけても仕方ないと思います。

すべてを読み終えた後、ランディさんの感想も読んでみて下さい。
まったくその通りだと思います。
読後、同じ感想を持つ人間と出会えると思います。

共感と言う名のラインで作家や、読み手が繋がるはずです。

自分の読んだ村上龍の作品の中で1位、2位を争う作品です。
村上龍の作品を読んで感動出来た方は必読です。


わけわかめ       おすすめ度
意味が分かりませんでした。
結局、ラインが見える女(主人公?)とはなんだったのか・・・?
いや必ずしも、小説にオチを期待してはいけないんだ。ラストに向かう過程を楽しむもんなんだ。
と、思ってみても、私の中の納得を求める心が満足しないんですよ。

この本を読んで思った事は、世の中にはいろんな人がいて、なんとなく繋がりを持っているって事のみ。そんな事は知っていたよ。