冬の砦―長編サスペンス
作者 香納 諒一
価格 2,205 円
出版社名 祥伝社
出版年月 2006/07
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■読者の評価     おすすめ度平均

冒頭がごちゃごちゃしすぎ       おすすめ度
かなり駄作かな、と思いましたが、後半からはまあ、ましでした。
冒頭で、殺人事件が起こるんですが、過去の殺戮や主人公と関係のあったもと教師など出てきて、あまりにごたごたしすぎ。ここまで偶然に人が知り合いであることはないだろう、と。

あと、推理のほうも、「そういう結論にはいかないだろ」という感じではありました。ラストで、事件を隠蔽するにも関わらず、警官に復職することを選んだ主人公の心理も、それでいいのか? と思います。
警官に復職するなら事件のことをさらさないといけないし、隠蔽するなら復職はせずに、愛する女教師と古本屋でもやっていたほうがよかったでしょう。
あと、会話がかなり変。高校生の描写なども変。ていうか、32歳の男の心理も変で、ちょっとおっさんすぎます。
後半からラストにかけて事件がいろいろと起こるところはそれなりにおもしろかったです。


重い物語です       おすすめ度
 冬の朝、校庭に打ち捨てられた女子高生の全裸死体。
 その第一発見者は訳あって警察を追われた過去を持つ、同校用務員補佐兼柔道部コーチ。
 理事長らに請われて真相究明に乗り出すことに。
 謎を追いかける途中、彼にとっての運命の人との再会など有り、事件と自分自身の問題と両方がリンクしながら話が進んで行くのは、香納氏得意とする展開。
 大人が青少年と本気で向き合えば、多分必然的に直面する壁。大人側に立つ読者なら、共感しつつ真剣に考えさせられる物語です。
 ラストは、「どうしてっ?」と叫びたくなるのも、ハードボイルドにこだわる作者の美学を思えば、いつもながら仕方の無い事なのでしょう。


迷宮探検の心地良さ       おすすめ度
久々に堪能出来た内容だった。女子高生全裸殺人事件という衝撃的なスタートだがすぐにそれを忘れてしまうほどの謎が読み手の頭に拡がってくる。学園の大人(教師)世界と子供の世界の異常さが互いに絡み合い同時に過去の衝撃事件のトラウマをベースにしてストーリーは進む。
元警官で普通でない過去を持つ主人公の設定も良くいつしか読み手と同体化してその生き様を味わえるようだ。戸惑う程の謎の多さだがまさにジグソーパズルを仕上げるように行きつ戻りつ進むストーリーに無理が無く気の抜ける所もない。最後の一行まで一気に読み終えた時、おどろおどろしい事件をサッと吹き流すような情景描写が切なくも心地よかった。