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筋も単純で、読みやすい本ですが、その分、主人公たちの、絶望の中での明るさ(?)、孤独などの気持ちが伝わってきて、気持ちがかきまわされる本でした。
セックスと暴力に満ち溢れた本でしたが、なぜか、すがすがしい。。不思議な本でした。
読んでいてふとそう思った。物語の主人公に感情移入しながら
熱い姿で執筆している著者の姿が、目に浮かぶようである。
それほどまでに、この物語の主人公は著者と似通った属性を多く
持っている(ように思えた)。
過剰に荒んだ性衝動。売女への歪んだ愛。腹の底に蠢く暴力の予感。
日本という国への侮蔑。そして・・・・アナルへの執着心。
この本は垣根涼介という作家が持つイデアの集大成だと思う。
ストーリー展開の生温さだとか、主人公のご都合主義的ヒロイズム
はエンタメ小説として致命的ではあるが、著者の「なんちゃって自叙伝」
だと思って読めば腹も立たない(と自分に言い聞かせてみる)。
この小説を書くことで厄を落とせたはず!
・・・とファンは作者の今後に期待すればいいと思う。
このままでは読者は減る一方でしょう。
次々と書きたい作品を書き続けているようですが、読者がついてこれていませんよ!
と言いたくなります。
本作は、感情移入もままならず、どこで盛り上がればいいのかよく分からないし、
一向に上がらないテンションに戸惑います。セックス描写だけでテンションを持続
できると思っているなら考えが甘すぎる。恐らく作者が思っているほど読者に
伝わるものもありません。
ファンだからこそ厳しい見方になりますが、期待しているからこそです。
「ヒート〜」「ワイルド〜」のノリが好きなら、本作はパスする手もありです。
作者は着実に「馳化」している。
「ワイルドソウル」は、本当に感銘を受けた作品で、すごい作家が出てきたものだと、「午前3時のルースター」にさかのぼり、作者の全作品を読んできた。しかし、残念ながら、徐々に「平凡な」作家になってきている。
おそらく、本作品では、平凡なサラリーマンにおこる自己の崩壊・あるいは解放というようなことを書きたいのかもしれないが、なにぶんにも登場人物に感情移入できず、作品に気持ちが入り込めなかった。あえて、舞台装置を小さくして、登場人物の心情の変化に的を絞りたかったのかもしれないが、スケールの小ささのみが心に残った。
少なくとも私が作者に求める作品像からはどんどんかけ離れていって行くのが残念だ。厳しい言い方をすれば、主人公が殺人を犯していなければ、「三文官能小説」である。
同じ時期に出版された、「愚か者死すべし」「6ステイン」。同程度の金額を出すなら、このような上質な作品をお薦めしたい。

