千年の黙―異本源氏物語
作者 森谷 明子
価格 1,890 円
出版社名 東京創元社
出版年月 2003/10
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    第13回 鮎川哲也賞   受賞
帝ご寵愛の猫、『源氏物語』幻の巻「かかやく日の宮」――二つの消失事件に紫式部が挑む。平安の世に生きる女性たち、そして彼女たちを取り巻く謎とその解決を鮮やかに描き上げた、大型新人による傑作王朝推理絵巻!

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■読者の評価     おすすめ度平均

メイキング オブ 源氏物語       おすすめ度
 源氏物語はマンガでしか読んだことがないし、「かかやく日の宮」という幻の巻のことについても知らなかったけど、興味深く読めました。個人的には前半の帝ご寵愛の猫が消えるという「上にさぶらふ御猫」の話が好きです。
 紫式部に仕える少女「あてき」の恋。その片思いの相手「岩丸」少年の高貴な人へのかなわぬ恋。それから時の権力者「藤原道長」の陰謀。これらが猫消失の事件と絡む。
 「あてき」や「岩丸」がこの事件をきっかけに、子供時代に終わりを告げ旅立っていく感じがほろ苦くせつなくて、そこがなんとなく好きです。


紫式部探偵もなかなか面白い       おすすめ度
『源氏物語』と関わるミステリーとしては、岡田鯱彦『薫大将と匂の宮』(扶桑社文庫)、長尾誠夫『源氏物語人殺し絵巻』(文春文庫)が有名ですが、この本の収録作品「かかやく日の宮」は、『源氏物語』の成立論とかかわる点で上記2作品とは趣を異にします。『源氏物語』成立論に関する予備知識がないと、読むのはちょいときびしいかもしれませんが、多少とも知識があれば面白く読めます。実在の人物の描き方も無理はないし、道長や彰子など魅力的に書かれています。紫式部が探偵というのも納得できます。


紫式部の巻き込まれた些細な事件、だが、その後ろには・・・?       おすすめ度
 平安の都を舞台にし、紫式部が主人公、その上ミステリーとあればそれだけで読書欲をそそるというもの。

 中宮定子が出産のため退出されていた中宮御所で帝ご寵愛の猫が消えるのが第一部、第二部は、その数年後、源氏物語十一帖を彰子中宮に献上した式部は、その写本が世に出ると共にその一帖「かかやく日の宮」が失われていることに気づく。いったい誰が持ち去ったのか・・・。

 そのいずれの事件にも、時の権力者・藤原道長の影が・・・。
そして、あれほど宮仕えを拒んでいた式部だったが、彰子中宮の元へ出仕を決意する。

 式部に仕える小少将やその友達の小持従など登場人物も多彩でおもしろかったし、式部の道長への復讐もニヤリとさせられる。が、時代背景の説明がもう少しあれば、容易に平安朝へ没入できたのではないかとも思った。



千年前にタイムトリップしてみたら       おすすめ度
『かかやく日の宮』
源氏物語の「桐壺」と「若紫」の間に存在したとも推測される巻。
貴人ご寵愛の猫失踪事件は、源氏物語の作者紫式部と彼女が書き続ける物語にも影を落としていきます。源氏物語を深く知らなくても、雅なミステリとして楽しく読めました。

安楽椅子探偵は紫式部、助手は式部に仕える「あてき」という少女といったところでしょうか。この二人を軸に、権力者の姿や宮廷の華やかさを散りばめつつ、ほのぼのした夫婦愛や瑞々しい初恋、男女のしたたかさなど、現代と変らぬ人の姿と心が描かれているのも魅力です。

それにしても、『かかやく日の宮』。もし本当に存在したとすれば、どんなエピソードが書かれていたのか。気になるところです。
タイムトリップして確かめたいような。