ママの狙撃銃
作者 荻原 浩
価格 1,680 円
出版社名 双葉社
出版年月 2006/03
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■読者の評価     おすすめ度平均

本当の親の愛情       おすすめ度
文章が軽快に書かれていてとても読みやすかったし、ストーリーもおもしろかった。個人的には祖父エドの曜子に対するアメリカ人らしい肯定から入る教えが印象に残った。また、子育てに追われる一介の主婦が実はスナイパーで正体を隠しながら仕事を遂行するところもおもしろかったが、娘が同級生にいじめられているのを放っておけず助ける場面は爽快だった。親としての子供への教育という意味ではやりすぎのような気もしたが、一人だけで解決するのではなく娘にも勇気を振り絞って解決するところが本当の親の愛情なのだと思う。


非日常。       おすすめ度
1度いのちを奪おうものなら
それから逃れようなどないのでしょう。

全体的な出来が
あまり評価できず消化不良な気がします。


荻原ワールド全開。“奮闘する”ママ       おすすめ度
何かに“奮闘する”人の姿をコメディータッチで描いて、しかも最後にはホロリとさせてくれるのが、デビュー作以来の荻原浩のお得意のパターンである。
ある時は村おこしの青年団員だったり、ある時は暴力団のCIを担当する広告マンだったり、ある時はハードボイルド小説に心酔する探偵だったり、ある時はヤクザの組長の息子を誘拐してしまった若者だったり、ある時は潰れそうなテーマパークを建て直す公務員だったり、またある時は人の言葉が分かる猿(?)だったり。

今回“奮闘する”のは、荻原ワールドでは初登場の、女性主人公である。福田曜子は、41才。結婚14年目でちょっと頼りないがやさしい旦那さんと、愛すべき中学生の娘と幼稚園の息子を持つ2児のママだ。やっと庭付きのマイホームを手に入れて、趣味のガーデニングに余念がない。

そんなある日、かかってきた電話。それは25年ぶりに「仕事」を依頼する男からのものだった。そう、曜子はかつてアメリカで祖父のエドに鍛えられ、一度だけ「仕事」をした経験のあるクウォーターのスナイパーだったのだ。

一度は断るのだが、夫がリストラにあい、さらには友人に騙されるに至ってついに立ち上がる。愛する家族を守り、23年残っている家のローンを払うため、娘をイジメから守るため、ママは“奮闘する”。

『明日の記憶』を知る読者には多少食い足りない作品かもしれないが、ここに、ファンにとっては待ってましたとばかりの、“たっぷり笑えて、しみじみ泣ける”、お馴染みの荻原浩の世界が展開するのである。


コメディー?シリアス?ヒューマン?スリラー?       おすすめ度
かなり難しいヒロイン設定です。見方によっては、やることなすこと、とにかくこわい。

学歴や、整形ならともかく、なんと過去の殺人を隠して結婚。ひとたび娘がいじめにあえ
ば、人を殺した得意の銃で、相手の子どもをマジいじめがえし。母になり、四十過ぎても
また・・・・。
あなたのためとはいうけれど、家計の事情で殺していいなら、世の中殺人者だらけになっ
ちゃいますよね。こりゃ、コメディーとして読むしか、救われる道はないのかなと思うけれど、
けっこうシリアスタッチで話が進みます。
コメディーにするなら「奥様は魔女」くらいに徹底してもらわないと、読む方も迷うでしょう。
でも、魔法なら笑えるけど、殺人じゃ、やっぱり笑えないですね。普通に暮らすために、
お隣さんに、魔法を隠すサマンサは微笑ましいけど、家族に殺人を隠すとなれば、曜子に
だまされ続ける孝平たちがほんとにかわいそうだし、ラストの自己解決も相当こわい。
そうなると、家族愛のドラマとしても無理があるし・・・。

結局、読み終えて思ったのは、コメディーであれ、シリアスであれ、現実に人が殺され、
その犯人がつかまらないような事件が、何件もおこっているこの殺伐とした世の中で、
殺人の事情を認め、罪も償わずに生き続けることを許すように描かれる曜子の物語を、
ただ面白いからといって、受け入れてしまってよいものかということ。これを読んだ馬鹿な
犯罪者は「そうそう、殺してもばれなきゃいいんだ」と安堵するかもしれませんね。
もし、曜子のような人間が、平静を装って、近所に住んでいたらと想像すると、やっぱり
ぞっとします。曜子が迷惑していた、ゴミ袋女の方が、まだましですよ。そんな訳で、共感
するのは難しい物語でした。


描写と内容にギャップが・・・       おすすめ度
今は平凡な主婦だが、25年前はスナイパーという経歴の持ち主の曜子。暗殺依頼を家族の
ために断ろうとするが、彼女に、再び銃を手にする決心をさせたのが家庭の事情というのは
皮肉な話だ。冷酷な暗殺者に徹することができないまま曜子はターゲットに銃を向ける。
曜子の選んだ道にはやはり抵抗を感じる。殺人を犯した手で我が子に触れることは、私なら
絶対にできないだろう。描写はテンポがよく軽くてコメデイ風だが、いじめ、リストラ、殺人と
内容は重く、描写と内容の間にはかなりのギャップがある。読み手としては、それをどういう
ふうに受け止めて読めばいいのか悩んでしまった。読後も複雑な思いが残った。