霧のソレア
作者 緒川怜
価格 1,680 円
出版社名 光文社
出版年月 2008/03/20
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    第11回 日本ミステリー文学大賞新人賞   受賞
誤って仕掛けられた時限爆弾により、太平洋上を飛行中のジャンボジェットが大破。機長を失うが、女性副操縦士の奮闘で飛び続ける。しかし突然、通信機器が使用不能に…。第11回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。

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■読者の評価     おすすめ度平均

引き込まれる設定。バランスが悪い。       おすすめ度
飛行機の爆破テロからはじまって、米軍にCIA、
さらにはアメリカやら北朝鮮やらロシアやら各国の政府が乱入してきて、
とにかくスケールの大きな話になってます。
国際政治の大風呂敷とも言うべきで、思惑の絡み合いの描写は
なかなか引き込まれました。

それよりも飛行機の機器に関する薀蓄が細かくて細かくて、眩暈がします。

ただ、人物の描写の稚拙さが惜しいです。
男性陣の「うむ」とか「これはいかん」とか「そうはさせないぞ」とか
女性たちの「もうチャンスはないわ」「だめよ」「〜かしら」とかいうセリフも、
このあたりが新人作家なのかなぁって思ってしまいます。
美人の副操縦士やアテンダントからして、ありがちを通り越して
なんか男の妄想だなぁってキャラなんですね。
日本の大臣や自衛隊の人々も、割り当てられたせりふを言うために出てきている、
という印象だけの人物たちになっちゃってます。

フライトに関する描写に比べて、人物たちがうそ臭く薄っぺらいのです。
その辺でひっかかって、引き込まれていたのに戻されたりするので、
惜しいです。


これがデビュー作とは・・・まったく素晴らしい才能だ       おすすめ度
緻密なメカニズムの描写が素晴らしい。
突っ込みどころも満載だが、読んで損はない。
というか・・・女性副パイロットの凛々しい姿に惚れた(笑)。
次回作を待つ。


まったりパニック       おすすめ度
日本ミステリー大賞新人賞受賞した作品なので手にした。
新人賞受賞作品だと踏まえて読まないと、作品自体はそれほど惹きつけられない。
作品に粗さが所々にあり読む手が止まるのもある。117頁など機体の説明文が小説なのに約1頁も挿入される。国家レベルの騒動(?)に民間人が巻き込まれる題材なのだけど、リアリズムに拘った意気込みが作品全体に空回りした感じなのかもしれない。
眠れないほど夢中にさせるパニック小説ではなかった。


スリリングではあるが、全体的には甘い。       おすすめ度
モチーフは面白いし、手に汗握る怒涛の展開に釘付けになる。純粋なパニック小説として、十分に楽しめる。しかし、欠点も多いと思う。
まず、人物では主人公以外のキャラに魅力的な人が見つからない。人物の掘り下げ方も浅く、感情移入できる人はいなかった。また、この飛行機をなんとか助けようとする人物が皆無。いるにはいるが、弱い。これは非常に残念。あと、事件の結末も、ドタバタしてよく分からなかった。無事着陸して思わず涙、というシーンを期待していただけに、これまた残念。もう一つ、アメリカ人の書き方がひどい。ここまでせんでもよかろう、というくらいに悪人に書かれている。その必要性がわからなかった。
確かに面白い娯楽小説ではある。しかし、こういうモチーフでもっと面白い小説は山ほどあると思う。非常に惜しい作品である。


長めのアウトライン(あらすじ)を読んだかのような・・・       おすすめ度
次から次へとハプニングが起こり、また全編に渡って相当量の航空関連専門用語がちりばめられているので、まあ相応の小説を読んでいる気分にはなります。でも、全編予定調和内というか、起こっている事態はかなり深刻なのにあまりハラハラできないのです。文章自体もテンポを重視したためか描き込みが足りない印象を受け、なにやら長めのアウトラインを読んでいるような感じでした。そのため主人公を含め登場人物に感情移入することが難しかったです。
事故機救済の決め手になる自衛隊の行動の真相もお粗末だし、それに関連した最後の「オチ」で完全にリアリティは吹っ飛んでしまったかな・・・
正直、次作に期待というところでしょうか。書く力はお持ちの方だと思いますので、本作を上回る力作を楽しみにしています。