陽炎 (ハルキ文庫―東京湾臨海署安積班 (こ3-16))
作者 今野 敏
価格 714 円
出版社名 角川春樹事務所
出版年月 2006/01
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■読者の評価     おすすめ度平均

渋い刑事ドラマみたい       おすすめ度
今野敏の小説は、現実にはあり得ないような特殊能力を持つ捜査官たちが活躍する「STシリーズ」の印象が大きいので、そういう痛快な娯楽作品だと思って読むと、びっくり。

どこの会社、組織にもいるような少しずつ個性の違ったメンバーを、主人公(?)の安積が温かい視線で見守り、統率する。良くできた刑事ドラマのようです。

お話自体も、犯人捜しとか、派手な銃撃戦とか、犯人との息詰まる神経戦とか、そういった要素はほぼありません。
謎はほとんどないし、犯人もすぐに捕まるし・・・。
しかし、そこに至るまでの刑事たちの心の動きを読ませてくれます。主人公は決してスーパーマンではなく、「どうしても好きになれない」部下がいたりして、悩みながらも頑張っているところも好感がもてます。
良質の警察小説だといっていいでしょう。


リアル系警察小説の傑作!       おすすめ度
本書の魅力は、圧倒的なリアリティと、個性的な安積班のメンバー達(+速水小隊長)の人間劇にあると言えるだろう。
読者を欺くトリックは仕掛けられていないし、テレビドラマのような派手な銃撃戦も登場しない。淡々とした調子で、臨海署の日常の一コマずつが描かれている。
それだけ聞くと退屈な話かと思われるかもしれないが、さにあらず。そこに彩りを加えるキャラクターたちの魅力が、本書の真骨頂である。
たとえば、「張り込み」。ページ数はわずか15ページで、ストーリーもごく単純。しかし、最後の須田刑事の台詞に、ジンと来てしまうのである。

このシリーズの初期の作品は、倒産したケイブンシャから出版されており、今は入手困難なのが非常に残念。そんなこともあってか、シリーズも作者自体も知名度としては今ひとつ。もっと評価されてもいいのでは?