オーデュボンの祈り (新潮文庫)
作者 伊坂 幸太郎
価格 660 円
出版社名 新潮社
出版年月 2003/11
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    第5回 新潮ミステリー倶楽部賞   受賞
コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている“荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?卓越したイメージ喚起力、洒脱な会話、気の利いた警句、抑えようのない才気がほとばしる!第五回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞した伝説のデビュー作。

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■商品案内

???既存のミステリーの枠にとらわれない大胆な発想で、読者を魅了する伊坂幸太郎のデビュー作。レイプという過酷な運命を背負う青年の姿を爽やかに描いた『重力ピエロ』や、特殊能力を持つ4人組の強盗団が活躍する『陽気なギャングが地球を回す』など、特異なキャラクターと奇想天外なストーリーを持ち味にしている著者であるが、その才能の原点ともいえるのが本書だ。事件の被害者は、なんと、人語を操るカカシなのである。

???コンビニ強盗に失敗した伊藤は、警察に追われる途中で意識を失い、見知らぬ島で目を覚ます。仙台沖に浮かぶその島は150年もの間、外部との交流を持たない孤島だという。そこで人間たちに崇拝されているのは、言葉を話し、未来を予知するというカカシ「優午」だった。しかしある夜、何者かによって優午が「殺害」される。なぜカカシは、自分の死を予測できなかったのか。「オーデュボンの話を聞きなさい」という優午からの最後のメッセージを手掛かりに、伊藤は、その死の真相に迫っていく。

???嘘つきの画家、体重300キロのウサギさん、島の規律として殺人を繰り返す男「桜」。不可思議な登場人物たちの住む島は、不条理に満ちた異様な世界だ。一方、そんな虚構に比するように、現実世界のまがまがしい存在感を放つのが、伊藤の行方を執拗に追う警察官、城山である。本書が、荒唐無稽な絵空事に陥らないのは、こうした虚構と現実とが絶妙なバランスを保持し、せめぎあっているからだ。本格ミステリーの仕掛けもふんだんに盛り込みながら、時に、善悪とは何かという命題をも忍ばせる著者の実力は、ミステリーの果てしない可能性を押し開くものである。(中島正敏)



■読者の評価     おすすめ度平均

シュールなままで       おすすめ度
村上春樹風の語り口だなと思いながら読了。読みやすくて面白いのは他の作品と同様です。
ただシュールな設定はシュールなままで小説は終了したので、ジグゾーパズルを一気に完成させる著者の他の作品とは異なります。
解説を見ると、この作品が著者のデビュー作ということで納得しました。


不思議ミステリー       おすすめ度
ミステリーの醍醐味と言えば「“誰が”“何故”“どうやって”殺したのか」にあると思うのがですが、
この『オーデュボンの祈り』にもしっかりとその部分が描写されています。
どちらかと言うとファンタジーの要素が強いため、本格ミステリーとは違いますが、まさに新感覚のミステリー小説と言った感じです。

また、登場人物や文章に全く無駄がないのは凄い!
まるで全ての出来事、人物がパズルの1つのピースのように存在しています。
そして、それぞれが綺麗に組み合わさって行き、見事に結末が完成しています。
ここが伊坂 幸太郎さんの作品の凄いトコですね。


カオス理論       おすすめ度
カカシが見ることの出来る未来はとても細かな事象の積み重ねである。

「カオス理論」という言葉が本編に出てくる。それは、例えば僕達が今日朝ごはんを食べたか食べなかったか、のような些細なことでも未来には大きな影響を及ぼしうる、ということを表している。そんな理論が物語全体を構成しているように思えた。理由は、すみずみまで伏線を拾ってくれていたから。

いや、すげー面白かったわ。なんか難しいことはあんま考えんと、笑いながら読めましたよ。


シュールなのにリアルに感じる不思議       おすすめ度
人に借りて読み始めたら、止まらなくなった。

コンビニ強盗未遂を起こした男が、なぜか仙台の先の島にいる。
その島は150年前から外の世界と交流を断って孤立している。
島には江戸時代につくられた未来がわかる喋るカカシがいて…。

と、なんとなく荒唐無稽でシュールな話のはずなのに、リアルに感じる不思議な小説。

主人公がわけもわからず島にいるという冒頭から、最後、パズルがはまっていくように、すべてがおさまるところにおさまる。
かといって、謎解きのように【意味がわかる】小説ではないけど。

ストーリーが気持ちよく完結するのが好きな人には向かない小説かもしれない。
私は、島の住人たちの、どこか何かが欠除していて得体がしれないけれど、にくめない共感できる人物像にひっぱられて最後まで読んだ。

島の人間は「この島には何かが足りない」と思ってそれでも島で生きて死んで行く。

外の人間である私たちは、たくさんありすぎて、すべてが足りているような気がして暮らしているのかもしれない。



ヒモトカレタミステリー       おすすめ度

ミステリー小説とは、自分で伏線を散らかしておいて、それを回収するという自虐的な部分がある。
本小説でも、なぜ主人公である名探偵の行く先々で事件が起こるのか。
いわゆる、名探偵のパラドックスについての言及が行われている。
その言及は、このデビュー作がスタートラインなのだという決意の表明に思えてきます。

伏線を散らかしては、それを回収する。
それはどことなく、人生だとか、歴史だとかに似ている。
そんな気がしました。