信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス (新潮文庫)
作者 宇月原 晴明
価格 620 円
出版社名 新潮社
出版年月 2002/09
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    第11回 日本ファンタジーノベル大賞   受賞
1930年、ベルリン滞在中のアントナン・アルトーの前に現れた日本人・総見寺が語った奇妙な話―ローマ皇帝ヘリオガバルスと織田信長はともに、古代シリアに発生した暗黒の太陽神の申し子である。そして両性具有であった、と。興味を持ったアルトーが執筆した草稿には、知られざる信長が立ち現れる。伝記・伝承に散らばる謎を次々に明らかにし、洋の東西、時空を超えてダイナミックに描いた伝奇小説!第11回日本ファンタジーノベル大賞大賞受賞作。

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■読者の評価     おすすめ度平均

賛否両論       おすすめ度
 「スサノオ」「信長」「ヒトラー」を同系列の人間として扱う手法は栗本薫氏の「魔界水滸伝」などでも読んだような・・・また、キリスト教以前の文明(宗教)がキリスト教の広がりと共に駆逐され、(ローマから見た)辺境の地にのみ残るという考え方や、キリスト教以前の神々が「悪魔」とみなされるという考え方も、方々で語りつくされてきた。そこに「両性具有」の考え方を入れてきたところは新しいかとも思われる。
 いわゆる異教伝説の好きな方には「またか」という感じがあると思うが、この手の話をあまり読んでいない方には新鮮に感じられると思う。また細部まで書き込まれた文章なので、「フィクションが読みたい!」という気分の時にもよいかもしれない。ただ時代が行き来するので、ある意味気が散る感もある。。。


こんな小説のジャンルがあるんですね       おすすめ度
3世紀のローマ帝国末期の皇帝と信長が、1930年のベルリンにおける思索家の中で結びつくといういとも荒唐無稽な話しです。著者はこのようなジャンルの第一人者として名高いので読んでみたのですが、あまりにも突飛な話しでとてもついてゆけませんでした。ただ、直感的にですが、熱烈なファンが出来そうな文体、話しの進め方ですから、波長の合う方には非常に評価が高いことが頷けます。 


Welcom to back大袈裟・大風呂敷・妄想       おすすめ度
 信長記(俗)などに由来するとっくの昔に否定されているような俗説、
伝説を確信犯的に使い倒しています。
 信長と古代シリア由来の狂帝ヘリオガバルスを初めて結びつけたのは澁澤龍彦
ですが、登場人物の名前や設定、挿話の端々に澁澤へのオマージュが
ちりばめられています。
 妄想が暴走しているので、まじめな時代小説ファンなんかは受け付けない
かもしれませんが、しかし多分、作者には初めから狭義の“時代小説”
なんてつもりは微塵も無かったんじゃないでしょうか。
 これはファンタジーだ。そのつもりで読むことをお勧めします。また、
この本を読んでおもしろかったらアントナン・アルトーの『ヘリオガバルス・
または戴冠せるアナーキスト』も読むとおもしろいと思います。
 


伝奇小説の王道       おすすめ度
次から次に飛び出す奇想、東洋の異神と西洋の太陽神を結びつける豪腕、両性具有への憧憬・・。ある意味、伝奇小説の王道をいっていると感じました。もう一歩でトンデモになるところを、硬質で詩的な文体が救っています。構成力・文章力ともに凡手ではありません。
 ドロドロしたものはなく、そこが新しいとも言えるし、ちょっと物足りないとも言える。人情物が好きとか、史実に忠実なものが好きという方にはオススメしません。空想好きの私は、とても楽しく読みました。きらびやかで観念的な、錬金術師が見る夢のような一編です。


傑作です       おすすめ度
異様なタイトルに魅かれて手に取りました。
読んでいる間、赤黒い炎を常に感じていました。
ローマ皇帝・ヘリオガバルス、織田信長、ヒトラー・・・
あとは読んでのお楽しみ!!