4TEEN
作者 石田 衣良
価格 1,470 円
出版社名 新潮社
出版年月 2003/05/22
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    第129回 直木賞   受賞
    本屋大賞 2004年   受賞
銀座から地下鉄で10分、長屋ともんじゃ焼きと超高層マンションが調和して共存する町・月島。この町で僕たちは恋をし、傷つき、死と出会い、そして大人になっていく…。14歳の中学生4人組が出会った8つの瑞々しい物語。

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■読者の評価     おすすめ度平均

むしろ大人たちのために       おすすめ度
ぼくが中学生をやっていたのは、もう随分昔のこと。この小説の「ぽくたち」よりもずっとどん臭く、いけてない中坊だったはずだ。ヒップホップの代わりにハードロック、自転車はマウンテンバイクではなくドロップハンドルのついたレーサータイプだったけど、なによりもいけてなかったのは、友情に対してこんなにピュアではなかったことだろう。もちろん仲のいい奴は大勢いた。ある友達とは、帰り際に毎日2、3時間、厭きもせずに家の前で話し込んだ。あの頃コンビニなんてなかったしね。そんなぼくたちが偶然同じ女の子を好きになった。でも神様はどうも、ぼくよりそいつの方がお気に入りだったらしい。そんなことがあっても、ぼくたちは一緒にプールで泳ぎ、体育館でバスケットをした。でも前のように延々と−親が呆れるくらいに−話しこむことはなかった。心の底から、とてもとてもいい奴だったと思っていることに変わりはなかったのだけれど。

この小説はとても巧みにできている。始めの2、3篇を読んでいる間は少年たちの後ろに作為的な大人の影が見えるようで、「これで直木賞かよ!?」と感じてしまう瞬間もあった。しかし読み進んでいくうち、それは舞台上の黒子のように気にならなくなってくる。シンプルだが抜けのいい、映画のような小説世界の中「ぼくたち」は少しずつ大人になっていく。登場人物の台詞にはどうしても不自然さを感じてしまうのだが、ここで描かれている14歳の持つ空気感−上手く言えないが、人との間合いの取り方とか生活のスピード感とか−は澄んでいて説得力がある。思い出すのは塩田明彦監督の映画「どこまでも行こう」(1999年)。こちらの主人公たちは小学生だが、画面に無造作に放り出されたリアルな空気感は演出家の力量だと思う。石田氏もまた、演出家的な作家なのかもしれない。

誰かが「この小説を今の青少年に読ませて、友情や生きることの意味を考えて欲しい」と言っていたが、そうは思わない。第一、小説を読ませて云々という発想自体がとんでもなく的外れだ。むしろ、かつて「ぼくたち」であったオッサンたちが読んでこそ味わえる部分が多いのではないだろうか。


4teenなんで星四つ。       おすすめ度
ちゃりんこ(bike)で月島を駆け回るがきんちょ4人組の話です。
短編が数話掲載されているので、短くて、文字も大きくて小説初心者の方でも気楽に読めます。
ただ、内容は気楽じゃない。
今の社会、(昔にもそんなことはあったけれどそれと名称するものがなかった)
が抱える問題を、子供の目線から、(というかその4人のまわりに巻き起こるので)描かれています。
おもしろいです。今こんな行動的ながきんちょいるのだろうか?
中学生日記?みたいなNHK教育の子供向けドラマを大人になって見たとき、
ああこれ、成人男性が脚本かいたんだなあ。としみじみ思いますが、それがなきにしもあらず。
とにもかくにも、すごく考えさせられます。しょっぱな(第一話)から、おおーと思います。
ただ前まで明治の文豪の小説を読んでいたので、文字がでかっとおどろきました。
池袋ウエストゲートパークのように行間に妙なマークがないので、私にはこちらの作品のほうが読むのが楽でした。

是非手にとってください。


素直に楽しませてもらいました       おすすめ度
石田衣良さんの著書を初めて読みました。
これは、面白かったです。
ステレオタイプだとか、ありえない設定とか、そんなのどうだっていいじゃないのと思います。
だって小説なんだから・・・。
素直に騙されて、本の世界に漂っていられる、さわやかな青春小説でした。

そしてこれは個人的なことですが、
私は東京在住ではないのですが、数回旅行しただけの東京がなぜかもともと好きです。
この本の描写から、東京特有の雰囲気というかキラメキのようなものがすごくすごく伝わってきます。
私には、一粒で二度おいしい小説でした。
石田さんの他の本も読んでみたいな。



変わるもの、変わらないもの       おすすめ度
時代によって人を取り巻く環境は変わっていく。
世代によって感じるきっかけやモノだって変わっていく。

石田さんの小説はいつも希望的観測に基づくファンタジーではあるけれど、
でも、この物語に描かれているような気持ちは、時代や世代を超えた普遍的なこと。
仲間を大切にする気持ちや、女の子との事、ちょっとした冒険心、
大人に対する不信感や、それでも信頼に足りる大人もいるということ。

人生とか、社会とかそんな大きなものの存在を前にして混乱したり、臆病になったり、
ちょっと背伸びして虚勢をはって見たりしてたあの頃の気持ちが
読んでいる自分にみずみずしく蘇ってきた、そんな本でした。


個人的に       おすすめ度
 本作の舞台に縁がある者だから余計になのかもしれませんが、私は個人的に非常に楽しめました。やや脚色されている部分があるものの、ほぼそのままの世界が現実にあることを感じながら読むと、実際に4人の中学生がそこにいるようで、臨場感が味わえました。
 それは勿論、石田氏の人間の描き方のうまさによるものであります。彼の描く登場人物は、人間味があって、それぞれが個性を持っている。だから私は感情移入しやすかった。どうしてこうも多感な時期の「子ども」(敢えてここではこう呼んでおきます)を上手く描けるのか不思議でなりません。

 彼の、リピートというか、短い一言の文章で前後の様子を表現する独特の間が、文章全体を通して、良いリズムを持つことにつながっているのでしょう。簡潔明瞭なだけでない、リズムのよさ、爽やかさ、情景を想像させる力を彼の文章は持っています。直木賞を取っただけのことはあると、私は素直に評価したいと思います。

 興味のある人はぜひ、本作品の舞台となった街に足を運んでみてください。そのままの情景が、風景が、街並みがそのままひろがっています。高層ビルが乱立するようにはなりましたが、いつまでも変わらない街並みがそこにはずっと待っていてくれると思います。