砂の狩人 上
作者 大沢 在昌
価格 1,750 円
出版社名 幻冬舎
出版年月 2002/09/17
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暴力団組長の息子ばかりを狙った猟奇殺人が発生。警察庁の上層部は内部犯行説を疑い、極秘に犯人を葬ろうとした。この不条理な捜査に駆り出されたのは、かつて未成年の容疑者を射殺して警察を追われた<狂犬>と恐れられる刑事だった。過激にヒートアップ、ノンストップ1200枚!

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■読者の評価     おすすめ度平均

人は何を守り、何を求めるのか       おすすめ度
元刑事、警察庁キャリア、新宿署の刑事、暴力団、中国人マフィア。連続殺人事件を軸に様々な立場の人間の意思が絡み、もつれ合っていく展開には緊迫感があり、読者を引き込む。特に上巻はテンポの良さがいい。都市部で中国人を見かける事が珍しくなくなった昨今だが、「日本に住む中国人は、日本人をどう思っているか」書かれた内容には、少し考えさせられた。


「狩人シリーズ」の第二弾       おすすめ度
前作「北の狩人」に続く「狩人シリーズ」の第二弾。
2003年版このミスで4位、
2002年文春ベスト10で6位を獲得した。

元警視一課で「狂犬」と恐れられた西野。彼は未成年容疑者を射殺した責任をとって警察を辞し、千葉の港町で暮らしていた。その彼の元を、東京・神奈川発生したで暴力団組長の子供をねらった連続殺人事件の捜査を依頼するため、警視庁の女キャリア・時岡が訪れる。現在事件被害者の関連性は漏れていないが、情報漏れによる暴力団同士の抗争あるいは外国人犯罪組織との戦争を危惧し、現役時代一匹狼として活躍した彼に白羽の矢を立てたのだ。

猟奇的な事件、暴力団と中国人マフィアとの戦争、そして事件自体の謎解きと、大沢節が炸裂し、1200枚という長さを感じさせない、贅沢かつ一級のハードボイルド作品に仕上がっている。大沢ファンのみならず、お薦めできる一冊である。



大沢の起死回生の一作       おすすめ度
組長の子供ばかり狙った連続殺人事件、それに対し中国人達への攻撃が始まり、中国人達のやくざに対する報復も始まる。警察庁の女性警視正時岡の依頼によって元刑事西野は動き始める。やくざ、中国人、警察のキャリアと現場、そして外人部隊が入り乱れた盛り沢山のストーリー展開。でもストーリーも煩雑じゃなく、登場人物も混乱しないストレートな仕上がり。ここんとこ今一だった大沢の起死回生の一作


作家の技量を感じさせる熟練の活劇       おすすめ度
 大沢在昌作品では、ぼくは『雪蛍』や『心では重すぎる』が一番好きである。思い入れさえある。それらがアクションとは最も離れたところでのハードボイルドらしい設定にあるからかもしれない。同じシリーズでも新宿鮫はシリーズとしてさほど好きな部類ではない。キャラクターが嘘臭いし、第一ぼく自身飽きてきている。古い縁なのでまあ、ときどきお茶を飲んだりする隣近所の知人と言った具合のつきあい方をしている。

 だからいっそのこと、こうした単発アクション作品というのはけっこう有り難い。映画にしたらどうやってもB級アクションにしか仕上がりそうにないが、劇画であればそれなりに行けそうかと思われ程度の適度な警察アクション。心に傷を負って引退しているところに古巣からお呼びがかかっていやいやリバイバルしてゆくなんていうのは、もうとうに黴が生えて臭すぎるほどの設定のはずなのに、なぜか何度味わってもこのオーソドックスが楽しい。

 また、薬でおかしくなった連中にフィリピンで武装訓練させて冷血な殺人集団を育てていざと言う場合に呼び寄せるというまさに無国籍で何ともゾクゾクするような無茶な設定。一見軽薄に見える劇画のような設定を、リアルな小説体裁に刷り込んでしまう技術。また、そういう面白志向といったものへのポイントを逃さないところが、この作家を売れっ子にしている所以だろうなあと実感できる。

 新宿という、今やハードボイルドにとってはなくてはならない活劇の街を生かすのは多くの作家たちだが、その中でも大沢はとりわけ、時代風景とも言うべきこの魔郡、まさに水を得た魚のように作品の舞台構築の材料として駆使している。多くは読んだ後忘れてしまう一過性の面白さであり、またそれを覚悟の上でのエンターテインメントか。初出誌がいわゆる小説雑誌ではなく、スポーツ紙だから、そのように心得、書き分けているのだろう。大衆小説としての職人技を味わう、ってことではこの作風、おそらく正解なのだろう。



やはり第一人者       おすすめ度
とかくミステリー物で枚数が多くなると退屈な作品が多いと思う。

組長の子供をねらう猟奇殺人が発生、元刑事、警察、組、中国マフィア、マニラチームが複雑な因果関係で殺し合いを行う。

本作品には鮫島刑事のような強烈な個性ある主人公は出てこない。
しかし思い切った主人公(元刑事)の展開、そしてある意味で主人公

以上の脇役たちの個性が作品の魅力を醸し出している感じがする。

殺人ゲームの単純な作品にも捉えられそうだが、背景には組織と愛情の狭間にもがく人間たちの葛藤がドラマ化されている。

結構、枚数の多い作品だが一気に読めた。

そこはやはり第一人者、しっかりつぼをおさえて読者を魅了させる作品に仕上げている。