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2003年版このミスで4位、
2002年文春ベスト10で6位を獲得した。
元警視一課で「狂犬」と恐れられた西野。彼は未成年容疑者を射殺した責任をとって警察を辞し、千葉の港町で暮らしていた。その彼の元を、東京・神奈川発生したで暴力団組長の子供をねらった連続殺人事件の捜査を依頼するため、警視庁の女キャリア・時岡が訪れる。現在事件被害者の関連性は漏れていないが、情報漏れによる暴力団同士の抗争あるいは外国人犯罪組織との戦争を危惧し、現役時代一匹狼として活躍した彼に白羽の矢を立てたのだ。
猟奇的な事件、暴力団と中国人マフィアとの戦争、そして事件自体の謎解きと、大沢節が炸裂し、1200枚という長さを感じさせない、贅沢かつ一級のハードボイルド作品に仕上がっている。大沢ファンのみならず、お薦めできる一冊である。
だからいっそのこと、こうした単発アクション作品というのはけっこう有り難い。映画にしたらどうやってもB級アクションにしか仕上がりそうにないが、劇画であればそれなりに行けそうかと思われ程度の適度な警察アクション。心に傷を負って引退しているところに古巣からお呼びがかかっていやいやリバイバルしてゆくなんていうのは、もうとうに黴が生えて臭すぎるほどの設定のはずなのに、なぜか何度味わってもこのオーソドックスが楽しい。
また、薬でおかしくなった連中にフィリピンで武装訓練させて冷血な殺人集団を育てていざと言う場合に呼び寄せるというまさに無国籍で何ともゾクゾクするような無茶な設定。一見軽薄に見える劇画のような設定を、リアルな小説体裁に刷り込んでしまう技術。また、そういう面白志向といったものへのポイントを逃さないところが、この作家を売れっ子にしている所以だろうなあと実感できる。
新宿という、今やハードボイルドにとってはなくてはならない活劇の街を生かすのは多くの作家たちだが、その中でも大沢はとりわけ、時代風景とも言うべきこの魔郡、まさに水を得た魚のように作品の舞台構築の材料として駆使している。多くは読んだ後忘れてしまう一過性の面白さであり、またそれを覚悟の上でのエンターテインメントか。初出誌がいわゆる小説雑誌ではなく、スポーツ紙だから、そのように心得、書き分けているのだろう。大衆小説としての職人技を味わう、ってことではこの作風、おそらく正解なのだろう。
組長の子供をねらう猟奇殺人が発生、元刑事、警察、組、中国マフィア、マニラチームが複雑な因果関係で殺し合いを行う。
本作品には鮫島刑事のような強烈な個性ある主人公は出てこない。
しかし思い切った主人公(元刑事)の展開、そしてある意味で主人公
以上の脇役たちの個性が作品の魅力を醸し出している感じがする。
殺人ゲームの単純な作品にも捉えられそうだが、背景には組織と愛情の狭間にもがく人間たちの葛藤がドラマ化されている。
結構、枚数の多い作品だが一気に読めた。
そこはやはり第一人者、しっかりつぼをおさえて読者を魅了させる作品に仕上げている。

