うたう警官
作者 佐々木 譲
価格 1,890 円
出版社名 角川春樹事務所
出版年月 2004/12
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警官殺しの容疑をかけられた刑事に射殺命令が下された。捜査を外された有志たちによって、彼の潔白を証明するための極秘の捜査が始まるのだが…。北海道警察を舞台に描く、書き下ろし警察小説。

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■読者の評価     おすすめ度平均

普通のおもしろさ程度       おすすめ度
どうも、主人公達に感情移入出来ない。主人公の感情がよく見えない。
どうでも良い駄洒落なんか言わせる必要ないし、なんで、みんな佐伯に
従うのかが今ひとつ判らない。

道警絡み、札幌、をキーワードにするなら、東直己の方がずっと、
おもしろいと思う。(畝原ものや榊原ものですが)




展開抜群       おすすめ度
ストーリー☆☆☆☆☆
人物描写☆☆☆
殺人動機☆
終末☆☆☆☆☆

ぐいぐいと読者を引き込むストーリー展開はさすが逢坂氏である.
スペイン関連の著作と同様,飽きずに読むことができる.
終末部の展開は最高.
ただし,殺人動機は茶番に近い.
また,同僚の人物描写が薄い.バンドメンバーの個性が伝わってこない.

難点はあるが水準は高い.


スリルとサスペンスにみちたポリス・フィクション       おすすめ度
’05年「このミステリーがすごい!」で国内編第10位にランクインした作品。
警察本部の対応に同意できない現職刑事たちにより私的捜査チームがつくられ、警察機構の制度に乗らない独自の捜査で真相を追う、という異色の警察小説である。
「うたう=証言する、密告する」、本書では「組織を売る」という意味で使われている。

札幌市内のとあるマンションで北海道警察本部の婦警・水村の死体が発見される。
捜査の指揮権はなぜか強引に所轄より道警本部に引き継がれ、交際関係から、容疑者として同じく道警本部の警察官・津久井が浮かび上がる。指名手配された彼には、本部より逮捕に際して覚醒剤使用と拳銃保持の可能性から、射殺許可まで出されてしまう。6年前、生死を分かち合う特別な潜入捜査で、彼と組んだことがある所轄の佐伯警部補は、本人から直接無実を訴えられて、道警本部の動きに不審を抱く。津久井は、道議会で道警本部の不正経理問題についての証人喚問招致を受けている身だった。「うたわ」れては困る道警本部が組織防衛のために彼を消そうとしているのか・・・。そこで、佐伯は有志で影の私的捜査チームを結成して彼を匿いつつ、独自に事件の真相を追う。

道警組織を向こうにまわし、警察官仲間といえども敵味方が判然としない情勢で、はたして真犯人を捕らえ、彼の無実を証明し、しかも翌朝の証人喚問まで保護して、無事に道議会まで送り届けられるのか・・・。

腐敗問題の隠蔽をはかる道警組織、警察官が自らの組織を逸脱して私的に独自捜査をするという異例の状況と幾重もの制約、謎のベールに包まれた真犯人、そして証人喚問というタイムリミットの緊迫感。

ラストに、もうひとひねり、というか意外性が欲しかったが、物語のシチュエーションの奇抜さとプロットと、テンポのよいストーリー展開とで読ませることに著者が腐心したのだろう。
本書は、一般の警察小説のような、犯罪者対捜査陣といったクライムノベルとはまた違った印象を与えてくれる、スリルとサスペンスに満ちたポリス・フィクションである。


ショッカーみたいな北海道警       おすすめ度
かつて大沢在昌は「天使の牙」で、丸ごと麻薬組織の傘下に入った県警をNというイニシャルで描いた(地勢から丸わかりだが)が、今回、北海道警はこの佐々木譲作品において、実名でショッカーそこのけの悪役をつとめる。幹部個人の悪と、組織としての悪が混在していて、後者にくっきりスポットが移った瞬間に幕切れとなる構成も上手い。話を一晩に絞り込んだために不自然となったところもあるが、緊張の糸が途切れることのない秀作である。しかし、SF仕立てで純然たるフィクションとして楽しませる大沢作品と違って、ある程度リアルな作品で、うーん実際ここまでやるかなあ、いや、やるかも知れないなあ、という感じでショッカー扱いされている北海道警は、おおいに恥じ入ってほしいものだ。


いやぁ、面白かった       おすすめ度
捜査費流用の裏金疑惑と汚職スキャンダルで揺れる北海道警察。上層部の隠ぺい体質に現場の士気はガタガタという中、マンションの一室で美人婦警が殺害される。
容疑者としてあがったのは、婦警の元恋人で刑事の津久井。津久井は姿を消し、道警上層部は即座に津久井を指名手配、さらに発見次第の射殺命令を出す・・・。だがこれには裏があり津久井は警察内部の裏金スキャンダルの重要証人だった・・・。
元同僚の刑事佐伯は、津久井の無実を信じ立ち上がる。警察の現状に危機感を覚える仲間たちを募り、真犯人を探す私的な捜査を始め、津久井をかくまう。
口封じのため射殺を辞さず、警官の大量動員を行い執拗に津久井探すエリート上層部。対するは、光があてられることもなく地道に愚直に黙々と働いてきた中年男を中心とした現場の警官たち。
警察組織を舞台にタイムリミットもののストーリーを見事に構築する。そのスピード感。横山秀夫とはまた違った警察モノの快作。
さらに終局は思いもよらない大規模な活劇をみせる(映画化すると面白いだろうな、と思う。ラストシーンの映像も決まり、という感じだ)。
一気呵成に読み終えた。見事