第122回
(1999年下半期)
         夏の約束
藤野 千夜(著)   講談社 (2003/02 発行)
【定価】 470円
ゲイのカップルの会社員マルオと編集者ヒカル。ヒカルと幼なじみの売れない小説家菊江。男から女になったトランスセクシャルな美容師たま代……少しハズれた彼らの日常を温かい視線で描き、芥川賞を受賞した表題作。

第122回
(1999年下半期)
         蔭の棲みか
玄月(著)   文藝春秋 (2003/01 発行)
【定価】 530円
大阪市東部の下町にある、迷路のような集落。そこに隠棲するソバン老の右手首は、戦争で吹き飛ばされた。朝鮮人の元軍人が補償を求めて提訴したという新聞記事が、彼の過去を蘇らせ、集落に事件を呼ぶことに…。

第121回
(1999年上半期)
        
該当作品なし

第120回
(1998年下半期)
         日蝕
平野 啓一郎(著)   新潮社 (1998/10 発行)
【定価】 1,365円
現代が喪失した「聖性」に文学はどこまで肉薄できるのか。舞台は異端信仰の嵐が吹き荒れる十五世紀末フランス。賢者の石の創生を目指す錬金術師との出会いが、神学僧を異界に導く。洞窟に潜む両性具有者、魔女焚刑の只中に生じた秘蹟、めくるめく霊肉一致の瞬間。華麗な文体と壮大な文学的探求で「三島由紀夫の再来」と評され、芥川賞を史上最年少で獲得した記念碑的デビュー作品。

第119回
(1998年上半期)
         ブエノスアイレス午前零時
藤沢 周(著)   河出書房新社 (1998/08 発行)
【定価】 1,050円
場末の温泉旅館のダンスホール。老嬢と青年の孤独なタンゴに、幻滅とパッション、リリシズムと幻想が交錯する胸うつ名作。

第119回
(1998年上半期)
         ゲルマニウムの夜
花村 萬月(著)   文藝春秋 (1998/09 発行)
【定価】 1,300円
人を殺し、育った修道院兼教護院に舞い戻った青年・朧。修道女を犯し、暴力の衝動に身を任せ、冒涜と倫理のはざまで揺れる日々。目指すは、僕の王国―世紀末の虚無の中、「神の子」は暴走する。

第118回
(1997年下半期)
        
該当作品なし

第117回
(1997年上半期)
         水滴
目取真 俊(著)   文藝春秋 (1997/09 発行)
【定価】 1,050円
徳正の右足が突然冬瓜のように膨れ始め、親指の先から水が噴き出したのは六月半ばだった。それから夜毎、徳正のベッドを男たちの亡霊が訪れ、滴る水に口をつける。五十年前の沖縄戦で、壕に置き去りにされた兵士たちだった…。沖縄の風土から生まれた芥川賞受賞作。

第116回
(1996年下半期)
         家族シネマ
柳 美里(著)   講談社 (1999/09 発行)
【定価】 470円
日本文芸界最強最大の新人が放つ本格純文学。 こなごなに砕け散ったメンバーがつくろうかりそめの家族の映像。家族を演出することが家族なのか。現代の孤独な人々の喧騒を鋭い文体で描ききる大型新人の問題作。

第116回
(1996年下半期)
         海峡の光
辻 仁成(著)   新潮社 (2000/02 発行)
【定価】 380円
廃航せまる青函連絡船の客室係を辞め、函館で刑務所看守の職を得た私の前に、あいつは現れた。少年の日、優等生の仮面の下で、残酷に私を苦しめ続けたあいつが。傷害罪で銀行員の将来を棒にふった受刑者となって。そして今、監視する私と監視されるあいつは、船舶訓練の実習に出るところだ。光を食べて黒々とうねる、生命体のような海へ…。海峡に揺らめく人生の暗流。

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