第27回
(1999年)
         箱の夫
吉田 知子(著)   中央公論社 (1998/12 発行)
【定価】 1,838円
夫を運ぶのにちょうどいい大きさの箱はあるかしら? 「小さな」夫との奇妙で幸せな日々。しかし、ある日…。たしかな手ごたえを持っていたはずの現実が、ふとあやうくなる瞬間を鮮やかに描き出す。

第26回
(1998年)
         道頓堀の雨に別れて以来なり〈上〉―川柳作家・岸本水府とその時代
田辺 聖子(著)   中央公論社 (1998/03 発行)
【定価】 2,520円
大阪の川柳結社「番傘」を率いた岸本水府と、川柳に生涯を賭けた盟友たち…。川柳への深い造詣と敬愛で、その豊醇、肥沃な文学的魅力を描き尽す伝記巨篇。

第25回
(1997年)
         嗤う伊右衛門
京極 夏彦(著)   中央公論社 (1997/06 発行)
【定価】 1,995円
幽晦との境界が、破れている。内部の薄明が昏黒に洩れている。ならばそこから夜が染みて来る…。生まれてこのかた笑ったこともない生真面目な浪人、伊右衛門。疱瘡を病み顔崩れても凛として正しさを失わない女、岩―「四谷怪談」は今、極限の愛の物語へと昇華する…。

第25回
(1997年)
         鎌倉のおばさん
村松 友視(著)   新潮社 (1997/06 発行)
【定価】 1,995円
その女が、「私」の祖父・村松梢風と暮す鎌倉の家には、独特の空気があった。放蕩三昧の梢風を「文士」に仕立てあげながら、その女は年齢や経歴を様々に偽り、虚構の人生を縦横に紡ぎだしていたのだから。その姿はいつしか、実母は死んだと言い聞かされ、梢風の正妻である祖母と二人きりで育った「私」自身の複雑な生い立ちと、どこかで微妙に交錯し始めた…。

第24回
(1996年)
         アニマル・ロジック
山田 詠美(著)   新潮社 (1996/04 発行)
【定価】 2,730円
主人公は、ヤスミン。黒い肌の美しき野獣。人間の動物園、マンハッタンに棲息中。あらゆる本能を手下にして幸福をむさぼる彼女は、言葉よりも、愛の理論よりも、とりこになった五感のせつなさを信じている。物語るのは、私。かねてヤスミンとは、一喜一憂を共にしてきた。なにせ彼女の中を巡り流れる「無垢」に、棲みついている私だから…。小説の奔流、1000枚の至福。

第24回
(1996年)
         フルハウス
柳 美里(著)   文藝春秋 (1996/06 発行)
【定価】 1,223円
「家を建てる」が口癖だった父は、理想の家族を夢みて、本当に家を建ててしまう。しかし、娘たちも、十六年前に家を出た妻もその家には寄りつかなかった。そこで、父はホームレスの一家を家に招き、一緒に暮らし始めるのだが…。

第23回
(1995年)
        
辻 章(著)   河出書房新社 (1995/01 発行)
【定価】 1,835円
夢と現実との境界「日暮し坂」。幼年期に遡る魔術の瞬間、「日暮し坂」に佇む男の胸に去来する美しくも危うい光景…。人生の原景を透明な視線で描き、時空を超えた魂の永遠を謳う渾身の長編力作。

第22回
(1994年)
        
該当作品なし

第21回
(1993年)
        
山本 道子(著)   講談社 (1992/10 発行)
【定価】 1,631円
南国の大自然を背景に繊細な感覚で描く人生の幸福とは?秀作中・短篇5篇。

第20回
(1992年)
         彼岸先生
島田 雅彦(著)   新潮社 (1995/05 発行)
【定価】 660円
ポルノなんだか、SFなんだか、政治小説なのか、ミステリーなのかわからない不思議な恋愛小説を書いている小説家の先生は川の向う岸に住んでいる。だから…彼岸先生。東京、ニューヨークで女性遍歴を重ねたドン・ファンで、プロの嘘つきである先生を、ぼくは人生の師と見立てたのだった。ロシア語を学ぶ十九歳のぼくと三十七歳の先生の奇妙な師弟関係を描いた平成版「こころ」。

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